●Supraglottic Airways
(↑)これは(使う技術はなくても)知っているだけで良い、
という条件付のCompetencyなのですが、
その説明に入る前にまず時代的背景を。
以前、EMT界では、Endotracheal intubation(→)という挿管法を用いるのがGold standardだったのですが、これ、あってはならないくらいのComplicationを伴っていたのです。歯が折れる、喉に傷がつき出血する、といったminorなものから、嚥下肺炎を引き起こしかねない、最悪の場合、気管でなく食道に管が入った状態で空気を入れると、胃に空気が入る→吐く/肺に空気がいかない→死亡、というダブルの危険性まで。…というわけで、時代と共に廃れるべくして廃れていきました。しかも図(→)のように、頚椎をHyperextendさせないとだめ(=頚椎損傷時には使えない)、というDisadvantageもありましたしね。
一方、Supraglottic (Supra=above, glottis=声門) Airwayは、
そういった危険性が少なく、万が一の場合の対処法もあります。
頚椎をNeutralに保ったまま気道確保ができるのも魅力のひとつ。
器具には幾つか種類があるのですが、Combitube(↓)と呼ばれる下のようなチューブタイプのものがcommonです。この講義で実際に練習する機会があったのもこのCombitubeでした。
膝の上に骨棘は何ですか
(空気を入れることによって膨らむ風船状になっている)あるのが特徴。
① カフの空気を抜いた状態で、するする、と器具を口の中に差し込む。
このとき、99%の確率でこのTubeは気管ではなく食道に行く。
② Proximal cuff(クリーム色)を膨らますことで、Tube周りのスペースを塞ぎ、
Tube以外の部分から空気が漏れることを防ぐ。
③ 更に、食道内のCuff(透明)を膨らませることによって、食道への空気の進入を防ぐ。
④ これで、残っているルートはTubeの口⇔Trachea(気管)のみ。無事に空気の供給ができる。
青いチューブ口にBag valve maskをつなぎ、酸素を送り込めばよし。
さっき99%と書きましたが、
それでは万が一、1%の確率で気管にチューブが入ってしまった場合はどうするのか?
空気を送った時点で胸が膨らまない(=空気が肺でなく胃に行ってしまっている)ことに気がついたら、その場合の対処も簡単で単純。バルブを青いチューブ口から白いチューブ口に付け替えて、酸素を送ればいいだけ!1%とはいえ、ちゃんと保険がかかっているところがいいですね。
●Supplemental O₂
限定的な呼吸とは何か
緑のボトルに入っていて、様々な大きさのシリンダーに入っています。
一般的なのは、"C" "D" "E" cylinder。Cは小さくてポータブル、Eは大きいものになります。
購入には医者の書いた処方箋が必要で、値段は大きさにも寄りますが$120-250ほど。
患者に酸素を供給するときには非常に重宝するのですが、いくつか注意点もあります。
まずは、酸素はflammableだということ!火の元には注意です。
そして中の酸素には相当な圧が掛かっているので、立たせずに必ず寝かせて保管すること!
コドモがいじって倒れて、何かのきっかけでreleaseされてしまったら、
人が大怪我してもおかしくないくらいの勢いで酸素が噴射されます。
●Rectal Temperature
体温を測るには、日本では脇の下、アメリカでは口の中に体温計を入れるのが主流ですが、
実はどちらもかなり誤差があり、決して正確とは言えないのをご存知ですか?
え、直腸の温度はどうやって測るのかって?つまりその、ええ、おしりにぷすっとやるんです。
そうなんです、それをこれからATCは使えるようにならなきゃいけないand私たちは学生に
新たに教えなきゃいけないんですよ…。
以前にも少し触れたことがありますが、Heal illnessの疑いがあり、Core Temperatureが異常に上昇している場合には、 私たちの最大の目標は「30分以内に体温を104℉以下に下げる」ということ。
病院へ搬送するよりなにより先に、まず55℉(約13℃)くらいのCold tubに患者の全身をimmerseすることになります。
クロトリマゾールを使用する方法
当然、体温が104℉になったら患者を水から出して、いざ病院へ!とできるんですけど、
こういう冷たい水に全身浸かっている状態だと、脇の下や口の中、そして耳の中といったdistal body partの体温は、直腸温に比べてあっという間に下がるんです。
ということはどういうことか?
つまり、Cold immersionの結果として、体の表面の温度はすぐに落ちても、
体の深い深い内部分の温度(=Core Temp)はなかなか下がってこない、ということなんです。
だから、もし、例えば脇の下の体温だけ確認して、もう104℉切ったからいいやって患者を水から出してしまうと、Coreはまだ104℉よりも上な可能性があり、適切な判断ではないかも知れない。
より正確な、本当にCore tempに出来るだけ近い体温を測る必要があるのです。
そんなわけで、私だって大いに、真面目に、練習させてもらったのです。ぬぬ。
もちろん、練習といってもお互いのお尻でぶっすーっとやるわけにもいきません。
当然、練習用の標本を使います。お尻だけの標本です。こんなやつ(↑)。$500くらい。
大人が真剣にテーブルに転がるお尻に向かい合って、ああでもないこうでもないと言っている図…。実技練習中、私が講師の方に"うつ伏せではなくて、横向きが良いのはどうしてですか?"と聞いたら、"そう、(肛門の)full viewが得られるからね"と返ってきたり(full viewて!ヽ( ・∀・)ノ)、"ここで片手をbutt cheekに置いて、お尻をむりっと広げる感じで…"(むりっとって!ヽ( ・∀・)ノ)とか、いやいや、本当に真剣にやってたんですけども…なんというか我ながら滑稽で。
そのときの写真を携帯で撮って(↓)後で上司に送ったら大笑いされました。
てーぶるに横たわるおしり、おしり、おしり…。
Rectal Thermometer(↓左)のユニットの値段が$340ほど、
Probeはsoft (flexible)とrigidの二種類(↓右)があり、softは$60、rigidが$180と、ちょっと開きが。
それに、Probe coverが一箱$10-15ほど、そしてLubricantが$5-15くらいになります。
体温を測るのは実に簡単で、Probeの先端部にcoverを被せ、lubricantをつけて、
rigidなら深さ1.5インチ、softなら2~2.5インチほど肛門に入れるだけ。Softのほうは、曲がる分融通が利くので挿入したまま患者を治療しやすい、という利点があります。冷たい水に入れたまま、体温の変化をkeep monitoringできるわけです。ちなみに、Lubricantは水溶性のものでさえあれば、比較的なんでも良いのだとか。
そして議題は、このスキルをどう教えるか?ということに。
第一ステップは、私たちが今日やったように、モデル(標本)を用いて練習すること。
そして、それに慣れてきたら次のステップはSelf-insertionなんだそうで。
それからStandardized patient→Athletic eventとprogressしていくのはどうだろうか、と講師の方は提案してくれました。彼は何度も、"大袈裟な反応をしているのは私たちだけ。他のHealth Professionの人たちもやっていることだし、生徒も意外と理解を示して真面目にやってくれるものだ。抵抗を一番感じているのは私たち自身"、と繰り返し言われてましたが…。果たして"特にコドモ"な私たちの生徒はどういった反応をするのか楽しみですし、上司も何と言うか。
これから色々と考えることがありそうです。なかなかのchallengeですな。
そんなわけで、こんなことをみっちり2時間浸かって勉強させていただきました!
いやー、濃かった。そしていっぱい書いてしまった(汗)。
まだまだ勉強不足だし、教えるには不安も多いので、私ももっともっとこういったことについて勉強していきたいと思います。でも、"なんでこんなことやらなきゃいけないの?面倒くさい!バカバカしい!"と切り捨てるのは簡単ですが、CAATEが、引いてはNATAが加えていることにはちゃんとRationaleがあるのです。きちんとその理由も見つめ、appreciateできる教育者・クリニシャンでありたいと思います!
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